『幸せになる勇気』を読んでみた

『嫌われる勇気』があまりに素晴らしかったので、続編も読んでみたが大変良かった。

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【気付き・所感】

『嫌われる勇気』に書かれていることを実践しようとするとわいてくる疑問に

答えのヒントを与えている本だと思う。半分は教育論、半分は愛のタスクについて

豊富な情報を提示してくれている。

正直愛のタスクや、アドラー心理学の重要な概念である共同体感覚については未だ

整理ができていない。愛のタスクについては幸いほぼ乗り越えて日々精進しているので

共同体感覚についてもう少し時間をかけて理解を深めていこうと思う。

 

【メモ】

要旨さっとまとめられないのでとりあえず前回のメモに肉付けをして残しておく。

1.人は変われる
 ①世界はシンプルであり、複雑に見えるとしたら主観がそうさせている。
 ②原因論(トラウマ等)を否定し、目的論を採る。(過去に縛られない)
  人は過去の原因に突き動かされる存在ではなく、いまのなにかしらの目的を
  達成するために行動する。
 ③何が与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかに注目する。
 ④自分が変わるための勇気(幸せになる勇気)をもつ。
  人は、不満があったとしても「このままのわたし」でいることのほうが楽であり、
  安心なのである。そのため「このままのわたし」でいることを選択し続ける
  ということがある。
 ⑤「いま、ここ」でライフスタイル(性格、気質、思考・行動の傾向、世界観、
  生き方等)を選びなおす。

 過去の経験が人格形成などに多少なりとも影響は与えるが、それによってなにかが
 決定されるわけではない。自らが経験に与える意味によって、自らの生き方を選ぶ。
 例:「学歴がないからニートになる」ことを選択するのか、
   「学歴がないから人一倍努力してやりたい職業につく」ことを選択するのか

2.人のすべての悩みは対人関係である
 ①優越性の追求も劣等感も、健康で正常な努力と成長への刺激である。
  優越性の追求とは、今の自分よりも前に進もうとする意思のことであり、
  他者との競争の意思ではない。
 ②劣等感から発展する状態。(努力と成長、劣等/優越コンプレックス、不幸自慢)
  劣等感とは、理想に未到達な自分はまるで劣っているかのような感覚を抱くこと。
  劣等感─┬努力と成長(勇気をもって劣等感をバネにする) 
      │      例:学歴がないから人一倍努力しよう
      ├劣等コンプレックス(劣等感を言い訳にする)
      │  │   例:学歴がないから成功できないのだ 
      │  └優越コンプレックス(偽りの優越感を振りかざす)
      │      例:学歴さえあれば成功するのだ
      └不幸自慢(悲劇のヒロイン→永遠に不幸が必要)
 ③人生は他者との競争ではない。
  優越性の追求は他者との競争によっておこなうものではない。
  対人関係の軸に競争があると、他者全般ひいては世界を敵だと見なすようになる。
  その結果対人関係の悩みから逃れられず、不幸から逃れられなくなる。
  また常に競争しているので心が休まらない。
  「自分は正しく、相手の誤りを正す」という権力争いに足を踏み入れないで
  「自分はこう主張する」で完結させるようにする。
 ④人生のタスクを乗り越える。
  人が社会的な存在として生きてくうえで直面せざるをえない3つの対人関係が
  人生のタスクである。従って人のすべての悩みは対人関係といえる。
  (1)仕事
  (2)交友
  (3)愛
    愛とは、相手に劣等感を抱かず、優越性を誇示する必要にも駆られず、平穏で、
    極めて自然な状態でいられることである。

3.自由になるために他者の課題を切り捨てる
 ①承認欲求を否定する。(他者の評価を気にかけない)
 ②課題の分離によって見返りから解放される。
  「~してあげたのに感謝されない」などは見返りに縛られている。
 ③自由とは、他者から嫌われることである。
  嫌われたくないという自然な欲望・衝動に逆らい、嫌われることを
  怖れないことこそ自由と言える。

 課題の分離とは、自分の課題と他者の課題を分離すること。
 他者の課題には踏み込まず、自分の課題には他者を踏み込ませない。
 例:宿題は子供の課題(他者の課題)なので「宿題をやりなさい」などと踏み込まない
 誰の課題か見分ける方法は
 「その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か?」
 を考える。ただし他者の課題に対して踏み込みはしないが、援助(勇気づけ)はする。
 他者が課題を前に踏みとどまるのは能力不足ではなく勇気がくじかれているから。
 例:「宿題をやりなさい」ではなく「宿題を終えることがあなたの課題だから、
   わからないところがあるとか手助けできることがあれば言ってね」と働きかける

4.共同体感覚を得る
 ①人生の目標は共同体感覚を得ること。(「ここにいていいんだ」と感じられること)
 ②共同体感覚を得るために次のような対応で人生のタスク(対人関係)に立ち向かう。
  (1)課題の分離
  (2)他者を仲間だと見なし、横の関係(対等)を築く(自己受容・他者信頼)
  (3)他者になにを与えられるか考える(他者貢献)
  (4)勇気づけのアプローチ(他者を評価しないで援助する)
  (5)「私は誰かの役に立っている」と主観的に思える(生きる勇気を持てる)
  
 他者信頼:対人関係をよくする、横の関係を築きたいという場合は、無条件に信じる。
 他者貢献:必ずしも目に見えるかたちでなくともよい。(主観でもよい)
      また、人生の指針として他者貢献を見失わないようにすれば迷はない。

5.コミュニケーション

 ①目的は合意形成である。

 ②暴力は未熟な行為であり、自分が未熟であることを表明する行為である。

  議論にうんざりしたり、勝ち目のない場合に最後の手段としてとる手段が

  暴力である。

 ③怒ることと叱ることはともに暴力に含まれる。

  怒ることも叱ることも暴力に含まれる。(実弾を込める/込めないに関わらず

  銃口を向けているのは相手を屈服させるという点で同じこと)

  ※そもそも「怒るのはいけないが叱るのはいい」という話をよく耳にするが、

   怒るのも叱るのも辞書をひいてみるとわかるが同じ意味なのだ。

6. 教育について知る

 ①教育の目標は「自立」である。
 ②教育とは「自立」に向けた援助でありカウンセリングのようなものである。
 ③次のような方法で援助する。
  (1)尊敬することで横の関係を築き、「普通である勇気」を教える
   その人をありのままにみて、その人がその人らしく成長していけるよう気遣う。
   尊敬の第一歩として「共感」によってその人に関心を寄せる。

  (2)子どもの決断は尊重する

   親や教師が示した道が失敗しないもので、子どもの決断だけが失敗するもの

   とは必ずしも言えない。子どもの決断を尊重して見守ることが重要。そうして

   自分の人生は自分で選ぶことができることを学ばせる。

   例:「〇〇くんの家に遊びに行っていい?」「それは自分で決めていいんだよ」

     ここで決めるための材料(知識・経験)があればそれは提供する

     「夕ご飯は6時からね。それから宿題は今日済ませておく必要があるよ。

      〇〇くんの家は遠いから早めに切り上げれば明るいうちに帰ってこられる

      と思うよ。」

     あとはいつでも援助する用意があることを伝え、近すぎない、援助ができる

     距離で見守る。

     「〇〇くんの家を何時ごろに切り上げるのがいいかわからなければ言ってね。

      あと宿題をやるときにどうしてもわからないところがあれば聞いてね。」

  (3)相談事は「これからどうするか」を聴く

   「悪いあの人」や「かわいそうなわたし」の話は聞き流す。

  (4)学級は教師の独裁国家ではなく、生徒達を主権者とする民主主義国家である

  (5)問題行動の5段階を理解する

   共通の根ざす目的は、共同体のなかで特権的な地位を得ることである。

   第四段階以降は他の教師や専門家など第三者の介入が必要となる。

    第一段階:称賛の要求(ほめられることしかしない「良い子」が生まれる)

    第二段階:注目喚起(「悪い子」になって目立とうとする)

    第三段階:権力争い(反抗・不従順により自らの「力」を証明したい)

     反抗や消極的な子どもが見せる不従順に対して怒りや叱責を返しては

     ならなず、その土俵から早々に降りるべきである。

     (腹立たしそうな表情を浮かべることもダメ)

    第四段階:復讐

     ストーカーのように憎悪・嫌悪によってつながっていたいので、

     嫌がらせをするようになる。自傷行為やひきこもりも復讐といえる。

    第五段階:無能の証明(「これ以上わたしに期待しないでくれ」という境地)

  (6)叱ってもほめてもいけない

    怒ること・叱ることは互いの「尊敬」を毀損する行為であり、また人間として

   未熟なコミュニケーション手段である。

    ほめることは共同体に競争原理を生み出し、「他者は敵である」という

   ライフスタイルを植えつけることにつながる。

    叱ること・ほめることはすなわち賞罰であり、子どもの「自立」を妨げる。

   子どもの「自立」を恐れて保身のために子どもを支配することは不適切である。

    知らないことは理性の言葉で教える。知ったうえでとる問題行動に対しては、

   人は「特別」でなくとも価値はあるということを「尊敬」を示して教える。

7.人生について知る
 ①幸福とは、貢献感である。
  貢献感とは、「わたしは誰かの役に立っている」という主観的な感覚のことである。
  これにより自分には価値があると思える。(生きる勇気を持てる)
 ②普通であることの勇気をもつ。(自己受容はその第一歩)
  他者の注目を集め、「普通」の状態から脱し、「特別な存在」になるために、
  場合によっては問題行動が起こることがある。つまり、「特別によくある」こと
  (優等生になることなど)がくじかれたとき「特別に悪くあること」
  (非行に走るなど)で注目を集めるという場合もある。
 ③計画的な人生は不可能である。
  人生は点の連続であり、「いま、ここ」にしか生きることができない。
  例:ダンスするように生きる。ダンスは踊ることそれ自体が目的であって、
    ダンスによってどこかに到達しようとは誰も思わない。
 ④一般的な「人生の意味」はない。(人生の意味は自分が自分自身に与えるもの)