『世界のエリートが学んできた「自分で考える力」の授業』を読んでみた
意見の作り方のヒントを得るべくピンときたこの本を読んでみた。
【要旨】
自分の意見を持つためには次の点が重要である。
・理解を深める
・根拠を重視する
・視点を増やす
良い意見(=説得力のある意見)にするためのチェックポイントは次の通り。
・先の予測
【気付き・所感】
この本は今の自分の悩みにほぼほぼ答えてくれた。基本姿勢や手順を示してくれていて
大変わかりやすい。
理解を深めて根拠を大事にしつつ視点を増やす。複数の視点を比較して選択し、
根拠も明確にして説得できるように考える。そして子供に説明するつもりで考えて
論理の飛躍がないかチェックする。なんとなくわかっている気になっていたことや
これまで学んできたことが整理された感じ。とはいえ実践してきていなかったことを
まずは実践していって自分なりの意見を持つように努めてみよう。
【まとめてみた感じのメモ】
■自分の意見を作る3ステップ(理解してから意見を持つ)
1.自分は何を、どのくらい理解しているのか確認する
・情報を本当に理解できているかどうかをチェックする
・5歳児に説明するつもりで話してみる(平易な言葉で説明できるか確認)
・カタカナ語を掘り下げる(文脈によって意味が変わるという意識をもつ)
・英訳してみる
2.疑問点を調べる
・理解できていないことは何か、きちんと挙げてみる
・理解できていることと理解できていないことや疑問点をすべて書き出す
・ツッコミを5W1H(誰が、何を、いつ、どこで。なぜ、どのように)で入れる
・信号色のマーカーで吟味する
・「理解できていないこと」をなくすための、また急に意見を求められたときのための効果的な質問を考えてみる
<効果的な質問のポイント>
・4W1H(いつ、どこで、誰が、何を、どのように)
・「なんのために?」「なぜそう言えるの?」
・情報にツッコミを入れる
・必然性を問う
・データなどの正当性・妥当性を問う
・あいまいな言葉をチェックする
・似て非なるものを引き合いに出す
・物事の両面を確認する(メリットに対するデメリットなど)
・きっかけ・起源について尋ねる
・なぜ「今」なのか、を問う
・長期的な展望について聞く
・インタビュワーになったつもりで、背景を尋ねる
<質問で目指すゴール>
・光景がパーッと目に浮かぶ状態、あるいは他の人にぺらぺら喋れるような状態
・実際に質問するクセをつける
3.意見を持つ(根拠も必須)
■考えるための基盤はクリティカル・シンキング。
(情報や意見・主張の是非を吟味し、よりよい答えを模索する思考)
<ポイント>
・根拠
根拠に対して次の2点を考えなくてはならない。
①根拠として述べられている内容は「正しい」のか
②根拠が根拠になっているのか
・視点を増やして発想を広げる
「もともとの主張とは反対の主張とその根拠」を考えてみる。
他の誰かになりきって考えてみる。
①スルーできない人の視点(何を一番手に入れたいか)
・考え抜く対象の「情報」の内容に自分の将来・生活・仕事などがかかっている人
・その「情報」の内容が毎日の生活をよりよいものに変えてくれそうだ、
という期待を持っている人
・その「情報」に直接関係のある当事者
②部外者のフレッシュな視点で見る
・風刺漫画家の皮肉を入れようとするようなイジワルな視点
・人類学者っぽい視点
・「情報」の中身を「人類の歴史の一部」として百年後の視点からとらえてみる
・「情報」が言っている内容は他の国でも重要な問題となり得るのか
・「情報」には大前提となっている文化的背景があるのか
③一人弁証法←アウフヘーベンは必須なのか?
・もとの主張に反対する立場を設定し、ツッコミとその根拠を紙に書き出す
・根拠が正当か(事実まで落とし込めるか)検証する
・正当と判断したツッコミを自分の考えに反映させる
・事実と意見を区別する
事実らしきものを前に考えをとめない
■良い意見に育てるためのチェックポイント
1.先の予測
・現実のものとなったら何が起きるか、うまくいった場合とそうでない場合の
シナリオ両方を想定する
・それぞれのシナリオに備えてアクションすべきことはないか考える
・そのアクションは実行可能か考える
・そのアクションは今しておく必要があるのか考える
2.必然性
・実行しないと本当に困るのか、それ以外の手段はないのか考える
・本当の目的は何か考える(目的を1つに絞ることがポイント)
3.根拠を再考
・次の点を紙に書き出して不足がないか考える
・自分の基本姿勢
・賛成/反対根拠
・(あれば)提案/補足
・提案/補足があったならその根拠
・反対根拠が残っていればネックとして追記
4.暗黙の前提がないか、あればそれは正当か
・結論と根拠を図式化し、子どもに説明するつもりで考えて見抜く
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結論:「ヒアリング力が伸びると総合的な英語力も上がる」
①なぜならば↓ ②故に↑
根拠:「ヒアリング力が伸びた人はTOEICスコアも上がった」
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①のロジック → 納得感あり
②のロジック → 釈然としない・・・
釈然としない部分に暗黙の前提が隠れていることが多い。
暗黙の前提は、根拠と結論の間にあるギャップを埋める一言ととらえる。
5.目的は何かを問い直す
・3.で書いた紙に赤字で目的を書き足す
・紙を眺めて、大体目的を果たせそうか
■先の予測を活かした決断するための思考プロセス
1.決断しかねている行動を肯定文で書く
2.目的を明記する(なぜそうしたいのか)
3.達成するための手段を書き出す
4.手段毎にうまくいく/いかない場合のシナリオを書き出す
5.ポリシーに合わない/現実的でないものを消去する
■意見交換の14のルール
1.絶対的な正しい意見などない、と心得る
2.相手にとってわかりやすい言葉と流れで
3.これから話す内容の「マップ」を示す
4.大事な個所は表現を変えながらくり返して
5.断定的な口調は避けて
6.反論=人格否定、ではない
7.NOは相手からの「質問」だと思おう
8.相手の話をさえぎらない
9.「わかったつもり」はNG
10.相手の意見の丸呑みは「尊重」ではない
11.相手のペースにのまれないで
12.根拠を聞こう、口に出そう
13.知ったかぶりをしない
14.反対するなら代替案を
■自分にとって大事なことに気付く
自分にとって大事な事がわかっているからこそ意見が生まれる。
次の手順で気付く。
・「ん?」と思ったら気になる事があるのだと認める
・正体を探り、なぜそう思ったのか根拠を探る
・探り当てた事が自分にとって大事なのだと認める