『心とからだのサビをとるシンプル禅生活』を読んでみた

育休の間に、少しだけ興味はあれど普段なら買わないなと思う本を買ってみた。
禅について書いた本で、なかなかに新鮮でよかった。
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座禅を取り入れようとまでは思い至っていないが、考え方については興味深かった。
アドラー心理学と類似した点が多く、禅に対して親近感がわいた。
ちょっと挙げてみると次のような感じ。

・陰徳を積むことの奨励
 陰徳とは人が嫌がる仕事を何の評価も報酬もなくすること。
 →見返りを求めない生き方をすべし(アドラー心理学

・百花春至誰為開(ひゃっかはるいたってたがためにかひらく)
 春に咲く花は誰のために咲いているのか、誰のためでもない、ただ咲いている。
 けれど、その姿に多くの人が慰められる。この花のように生きることで、
 他人の評価から解放される。
 →承認欲求を捨てるべし、課題の分離をすべし(アドラー心理学

・古人刻苦光明必盛大也(こじんこっくこうみょうかならずせいだいなり)
 釈迦も達磨も同じ人間。同じ人間ならやってやれないことはない。
 そうやって古人は苦しみ抜いて比類ない輝かしい成果を手に入れた。
 →劣等コンプレックスに陥らず、劣等感をバネに努力することが大切。
  (アドラー心理学

・一大事
 「やることが多すぎて何からてをつければよいかわからない」
 「はたして今の状態は正しいものなのだろうか」
 「目指している方向は間違っていないだろうか」
 『そもそもやりたいことが見つからない自分はどうすればよいのだろう」
 などと迷った場合はまず落ち着いて、それから目の前のできることを片付ける。
 答えは考えても出てこない。人生には決まった意味も答えもない。
 今この瞬間を真剣に生きることが大切。
 人生の意味は、いま、ここで、自分で作っていくもの。
 →一般的な人生の意味はなく、自分が自分自身に与えるものである。
  また人生は点の連続であり、「いま、ここ」に生きることしかできない。
  (アドラー心理学


<その他参考になったこと>
・泥は腐った葉や動物の糞尿、虫の死骸などといった汚いものを含んでいるが、
 こうした養分豊富な泥があってこそ、蓮の花は美しく咲くもの。
 (悩みや不安を抱く時はもっと大きな自分に出会うチャンスである)
・禅の心を表しているという羽生善治の言葉
 「ただ一局一局を大切に。そこにだけ集中して指してきた」
 「追い詰められた場所にこそ、大きな飛躍があるのだ」
 「ビジネスや会社経営でも同じだろうが、一回でも実践してみると、
  頭の中だけで考えていた事の何倍もの『学び』がある」
・心と体は常に繋がっている。心の乱れは体の乱れ。逆に言えば、体を正せば
 心も正せる。体を正す基本は呼吸である。
・精進料理は、手元にあるものだけで工夫して作る、という思想が根底にある。
・禅堂で食前に唱えられる「五観文の偈」(ごかんもんのげ)は、普遍の食事訓である。
 原文と意訳文は次のとおり。
 一つには功の多少を計り彼の来処を量る。
 (この食物が食膳に運ばれるまでの多くの人々の苦労と天地の恵みに感謝します)
 二つには己が徳行の全欠を忖って供に応ず。
 (自分の行いが食事をいただくのにふさわしいか反省します)
 三つには心を防ぎ過貪等を離るるを宗とす。
 (この食物をいただくにあたり貪る心を起こさず、好き嫌いをいいません)
 四つには正に良薬を事とするは形枯(ぎょうこ)を療ぜんが為なり。
 (この食物は、生命を保ち日々よりよく生きるために必要な良薬と心得ます)
 五つには道業を成ぜんが為に応に此の食を受くべし。
 (日々の行いを通して平和で安らかな心を得るためにこの食事をいただきます)
・スランプを乗り越えるのは一瞬のこと。
 段階的ではない、一気に到達できる瞬間、境地がある。